ファブニルの体力を考え、雨風が凌げれる家屋を見つけて夜を明かした四人。

 まだ程よく疲れが残っているのか、マリアは大欠伸を一つ。

「マリア…口くらい覆いなさいよ…」

 仮にも女の子なんだからと言うように苦笑すると、睨みつけられてスゴスゴと引き下がった。

 フェンリルは紫煙を吐きながらマリアに問いかける。

「なー。あの城にメイデンいるのか?」

「知らん」

「当ても無く歩いてんのかよ!」

「当ても無くじゃねぇ。声が耳鳴りみてぇに聞こえてくんだよ」

 耳を小指でほじりながら言うと、ファブニル達は顔を見合わせた。

「『こっちだ』って。あーうざったい!」

 ウザさ大爆発のマリアが叫ぶと、三人は苦笑した。

 そんな中、ファブニルには疑問が残った。

 "聞こえる耳"を持っているマリア。
 それを知っているのは数が限られている。

 だがメイデンはそれを知り、さらには自分の居場所までをも教えている始末。

 マリアの特殊能力を知っただれかが背後に存在するのかもしれない。