アンラ=マンユは奇怪な声をあげながら術に飲み込まれ、街とともに消滅。
アトラティスの約四分の一を破壊してしまった。
力の偉大さと強力さに、ルーシュとフェンリルは震えた。
サタン=ナイトメアの力の破片を借りた、この世界最大にして最強の魔術。
使えるものはほんの数人しかいないといわれる術だ。
知らずに使えば己が闇に飲み込まれ、大都市一つが吹っ飛ぶほどの威力を兼ね備えているもの。
ファブニルは横たわって荒く息を吐いている。
「あの術を使って、まだ生きてるとはな?」
「おねぇ…ハァハァ…ナメんじゃ、ないわよ……」
フッと笑みを見せ、マリアはタバコをくわえて肩膝着き、ファブニルの腕を引っ張り起こした。
「しっかし、メイデンって奴はどんだけ顔広いんだ? 俺あいつは魔術書でしか見たことないレア物だぜ?」
フェンリルがファブニルのもう片方の腕を自分の肩にかけながら言うと、マリアは空を見上げた。
「これを見たあとの、天界の奴らの顔が見てみたいもんだ」