魔法陣からは血が鈍く光るような赤黒い光りを放ち、アンラ=マンユは身震いした。

【こっ! この力の波動は…! い…いいやまさか…たかが低級の成りそこないに、扱えるわけが…?!】

 そんな時、マリアが風の精霊達に命令し、アンラ=マンユの回りの空気を圧縮させる。

【ぐふっ!】

 魔風が魔法陣から放たれ、ファブニルは最後の呪文を唱え始めた。

「闇の王にして
 総てを生み出せし者よ
 汝の力の破片を我に与え
 我の力と汝の力とを重ねよ
 我等が前に立ち塞がりし者に
 大罪の滅美を与えよ

 ケイオス・ナイトメア!」

 魔法陣からは紫暗のドラゴンが現れ、力ある言葉を叫んだと同時に、それは弾けて一つの塊へと姿を変えた。

 アンラ=マンユは恐怖を覚え、逃げようとするが、マリアに縛られているために身動きが取れない。

【バカな!? バカなああああっ!!!】

 マリアは瞬時にルーシュとフェンリルの所まで行き、服を掴んでポジシオンを発動させて場所を移動する。