指輪を眺めながら言うと、ファブニルは苦笑した。

 戦いに明け暮れ、血を浴びて生きていようとも、帰れる場所がある。

 そんな自分でも、手を伸ばしてくれる皆がいる。

 何かにすがり、願わなくとも、心のよりどころさえあれば、帰れる場所さえあれば、それは幸せなのだと……。

 たとえそれが、ほんの少しのカケラでも……。











 次の日も、ほぼ一日中休む暇無く刺客達を相手にした。

 時には下級モンスター。

 時には公爵達の部下を。


 自分達にとって、帰れる場所を守るために。


「ゲヘナ・ハウト!!」

「ダーク・ウィング!!」

「ブレス・ブレード!!」

 三人の術と剣が魔獣を打ち払っている中、マリアも何度も銃弾を装填。

 神聖呪文を唱えながら大地を蹴り、フライを使って空高く飛ぶ。

「エンシェント・アクエリオン!」

 聖なる光りが、魔族達を一瞬にして浄化していく。