コッ……コッ……
「喧しい。人が気持ち良く寝ていたというのに、不粋な声で起こすんじゃねぇよ」
艶やかな金糸のショートボブの髪。碧い空のような碧眼。黒いチューブトップの上から、肩を見せるように着た白いローブ。
少々ヒールが高めのショートブーツを履き、胸には水色の十字架のタトゥが彫られていた。
魔族は呆気にとられていた。仮にも聖職者。
黒い拳銃を持ち、悪魔のような形相で睨みつけられたからだ。
ついでに口も悪い。
「いったいあたしに何の用だ? あたしはお前のような奴を呼んだ覚えはない。とっとと帰れ」
銃口を突き付けられ、なおかつ撃ち抜かれた足をヒールで踏み付けられた。
「ぐぎゃあああっ!?」
あまりの激痛にもがき苦しむ魔族。
「ったく。もっとイイわめき方ができないのかい? 減点75点」
いきなり点数を付け出すマリア。
「あ。コイツ顔洗ってないぞ。更に減点10点だよね、マリア」
魔族の背後にいつからいたのか。
紫の髪に紫暗の瞳。片手にショートソードを携え、首にはユリの刻印が刻まれている銀の首輪をしている少年がしゃがみ込んでいた。