ある雷がなる早朝。

 マリア様に懐いている猫がドアをカリカリと掻いき、その音で目覚めた。

「どうしたのマスク?」

 ふと見下ろせば、手紙をくわえたマスクが座っていた。

 それを受け取ると、マスクはその場から何事もなかったかのように立ち去ってしまった。

(マリア様からの手紙だ)

 封を開ければ、

"今すぐ、誰にも気づかれずに部屋へ"

 っと書かれていた。

 指示通り、誰にも気づかれずに部屋へとたどり着いた。

 というのも、まだ就寝時間なのでまだ起きていないといったほうが正しい。


 小さくドアを叩き、返事を返されたのでドアを静かに開けて中に入り、直ぐさま静かにドアを閉めた。

「どうしたんですか? マスクになんか手紙持たせて、?!」

 薄暗いランプの明かりで照らされたマリア様を見て、あたしは躊躇した。

 それは当たり前というくらいびっくりしたからだ。

 だって、オルレアンの聖女のローブではなく、修道女の黒い服を着ていたのだから。