一滴の涙と共に、願いをかけるように鎧を身に纏ったおさげ髪の女性は、大人の姿のルーシュ=デモンをオキニス・ブレードで貫いていた。

 魔族達は貴公子を殺され、バールからの退却命令でデイモンズ・ゲートへ向かっていく。

 その中に、パイモンも泣きながら引き上げて行ったのも事実。

 ゲートが消えると同時に剣を抜き、眠るように横たわるルーシュを見つめる。

「大丈夫ですユリシーズ。兄様は、眠るだけです…」

 肩に手を置き、まだ若かりし日のミカエルは、ユリシーズに言い聞かせるように言った。

「わかって…います……」

 涙を拭いながら立ち上がり、数歩下がる。

 ミカエルはルーシュの額に手を当て、何かを呟きながら四つの光りを取り出した。

 取り出した光りは、指輪、ブレスレット、ネックレス、チェーンベルトへと変わり、ユリシーズの掌に納められた。

「兄様の記憶と力のカケラです。いずれこれを受け継ぐもの達だけに、真実を語り継がせていきましょう」