外は雪が降り注ぎ、小さな冬の街を白で染め上げていた。

 あれから森林地帯を進んですぐの山道を通りはじめると、急に雪が降り始め、吹雪になって近くの街に宿を取ることにしたのだ。

 暖房をきかせているが、小さな隙間から外の冷たい風が入り込み、ファブニルは身震いをしながらルーシュを起こしにやって来た。

「ルーシュ。起きなさい。あったかい食事用意できてるわよ?」

 毛布に身を包ませ、まるで猫のように寝ているルーシュをユサユサと身体を揺らせて起こしていた。

 だがルーシュは更に丸まり、ファブニルの声を聞こうとはしなかった。

 いつもなら朝食と聞いただけで飛び起きるというのに、なぜか今日だけは様子が違う。

「どうした?」

 マリアの声で、ルーシュはピクリと身体を反応させた。

 ファブニルはそれに気づき、苦笑しながら部屋から出て行った。