ガウン!


【ぎゃっ!?】


 弾丸が人魚のヒレを貫き、苦痛の叫び声をあげた。

【よくも私の美しい身体を! 何奴!】

「ったく。バカ犬以上にヴァカだな。おい。ヤられてる暇があんなら抵抗しな」

 木々の間から現れたのは、怒りの四つ角マークを、額に三つほど浮かばせたマリア。

 人魚は驚愕の表情を見せた。

【お前はオルレアンの聖女! 何をしに来た!】

 銃口を人魚に向け、空いた手でタバコを取り出して火を点けた。

「大した用はないねぇ。ただ、そいつに一言言いたくてな…」

 紫煙を吐きながら言葉を続けた。

「闇に捕われるのは勝手だが、ちったあ成長したらどうだい?」

 魔物には訳がわからなかった。

 泡に包まれたフェンリルは、それを聞くなり、壊れたように笑い出した。

「まったくだ。バカ犬と同類にされちゃたまんねぇや…。ハッ!」

 気合いを入れて泡を魔力で払い飛ばし、魔物に向けて不敵な笑みを浮かべた。