強く、迷いのない、空のような自由な瞳。

 それを明るく照らす、金糸の美しい髪。

 こんな女は、初めて見た…。

「アニエス、とかいったな? このバカウルフはあたしの監視下に置かせてもらう。お前は逝くべき場所へ行け」

 視線を横に向けたマリアは、誰もいないというのに空に話し掛ける。

「待ってくれ! アニエスがいるのか?!」

「あぁ。言葉を伝えてやる」


― 貴方に会えて、愛を貰って、あたしは幸せだった。
 だからお願い。あたしのためを想うなら、笑顔で見送って…。
 誰も、憎んだりしないで。
 貴方に会えたことで、あたしは救われた。

 ありがとう ―


 俺はそれを聞き、声をあげて泣いた。

 枯れることを知らない涙。

 お前がそう言うなら、俺はもう誰も恨まない。

 礼を言うなら、俺のほうだ…。



 ありがとう…アニエス……。