ミカエルの命令、もとい、使命を受けてはや一週間。
 四人は歩いてこの広大な砂漠を越えようとしていた。

 マリア達のいた都市から先は、緑豊かな森林地帯…のはずだったのだが、それがたったの一週間で消え失せ、辺りは砂の海に呑まれた砂漠と化していたのだ。

「まったく、いったい、なんでこんなことになってんだ?」

 額に汗を浮かべながら、フェンリルは荒く息をしてタバコを吸っている。

「一週間で砂漠化なんて、尋常じゃないわよ…」

 日焼けしないように、ファブニルは深く布をかぶる。

「いいダイエットになるだろうが?」

「アタシのどこが太ってるっていうのよっ!」

 マリアのポソリと呟いた言葉に、ファブニルは即効で否定した。

「ね~マリア~! 暑いよ~! 喉かわいたよ~!」

 このクソ暑い中、ウザさ大爆発的に駄々をこねてくれるルーシュ。
 全員何もコメントを返さなかった。

 どこか休むところを捜そうと思っても、見渡す限り砂・砂・砂。どうしようもない。

 ファブニルは小さなマップを出し、現状位置を確認しようとするが、なかなか定まらない。

 砂漠化によって位置の特定ができず、目印になるようなものすらなくなっている始末。