水の槍を自分の回りに出現させ、水掻きのついた手を振り下ろす。

 振り下ろしたと同時にファブニルがシールドを張る。

 水場に近かったルーシュとフェンリルはすでに捕われ、水の球体の中でもがいていた。

[仲間が死にそうよ? 早くよこしなさい]

 せせら笑いながら言うと、マリアは鼻で笑ってケルピーの肩を撃ち抜いた。

[ぎゃっ!]

「誰が仲間? そいつらはただの下撲だ。死のうが生きようが、知ったこっちゃないね」

「ちょっち酷くないかしら?」

 シールドを張ったままツッコミを入れると、マリアは視線を反らした。

 チラリと目をブレスレットに向けると、口の端を上げ、神聖呪文を唱え始める。

「熱き聖なる祈り
 主の炎の如き輝き
 聖なる炎の力持て
 闇より来たりし者に裁きを
 マルス・スレイヤー!!」

 ブレスレットから炎の龍が現れ、ケルピーの体に巻き付く。
 龍は炎の十字架に変わり、ケルピーは聖火に縛り付けられた。