気持ちのいいくらいのハタキ音をたてながら、ファブニルがフェンリルの鼻っ柱をぶっ叩く。
普通の扇子ならまだ我慢はできるが、鉄扇はだいたいが5キロほど。
しかしファブニルの鉄扇は15キロ。
かなりの手首のスナップがきいていたためか、フェンリルは撃沈していた。
ファブニルは撃沈しているフェンリルを横目に、コップに水を汲んでマリアに手渡した。
マリアの隣に腰を下ろし、 一息つきながら自分も水を飲む。
「あれから大分経つけど、傷はどう?」
「あぁ。お前の処置が早かったからか、痛みはないさ」
手首につけられたガーネットのブレスレットを見つめ、小さなため息をついて水を飲み干した。
「南のマリアは、見たことあるの?」
その言葉に、マリアは首を横に振った。
東西南北に修められたマリアは、許可無く自分のテリトリーの外へは出れないことになっている。
いなくなれば、直ぐさま近くに潜んでいる魔族達が襲ってくるからだ。

