Wild Rock



「あいつを『針の塔』から出したのは、あたしだからな…」

 その言葉を聞くや否や、全員の視線がマリアに降り注ぐ。




++++++++++++++++++++++++++


 遥か彼方。

 海原が広がる南の孤島。

 辺りは氷で閉ざされ、一度踏み入れれば息が結晶と化すほどの冷たい風が、着ているローブを靡かせる。

 天空まで伸びる、針を立てらせたような細い塔。

 雪と氷で作られた階段を、ひたすら登って行く。

 白い息は寒さで結晶となり、風に乗って辺りの雪と交差する。
 果てしなく続く階段を上っていくが、空とはいったいどこまであるのかと思うほどの高さ。

 だがそれを上りきったのか、急に辺りが晴れ渡る。

 辺りの景色は何も無く、風が吹く音も無い無音の銀世界だった。

 だが頂上は鉄の牢獄があった。
 格子にはありとあらゆる神聖呪文が書かれ、中には小さな少年がうずくまっていた。

 聞き慣れない足音に少年は起き上がり、フードを脱いだ少女に目を見張る。