「あいつを『針の塔』から出したのは、あたしだからな…」
その言葉を聞くや否や、全員の視線がマリアに降り注ぐ。
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遥か彼方。
海原が広がる南の孤島。
辺りは氷で閉ざされ、一度踏み入れれば息が結晶と化すほどの冷たい風が、着ているローブを靡かせる。
天空まで伸びる、針を立てらせたような細い塔。
雪と氷で作られた階段を、ひたすら登って行く。
白い息は寒さで結晶となり、風に乗って辺りの雪と交差する。
果てしなく続く階段を上っていくが、空とはいったいどこまであるのかと思うほどの高さ。
だがそれを上りきったのか、急に辺りが晴れ渡る。
辺りの景色は何も無く、風が吹く音も無い無音の銀世界だった。
だが頂上は鉄の牢獄があった。
格子にはありとあらゆる神聖呪文が書かれ、中には小さな少年がうずくまっていた。
聞き慣れない足音に少年は起き上がり、フードを脱いだ少女に目を見張る。

