震え、脅える瞳に変わっていくさまを、フェンリルは見上げていた。
(何に脅えて? つか、バカ犬にこんな力が…?!)
脅えながら後退りをするベリアル。
魔風があたりを弾くように吹き荒れ、そこから現れのは、子供の姿から大人の姿へと変貌したルーシュ。
金の首輪がひび割れ、地面に落ちる。
フェンリルとファブニルは冷や汗を流した。
魔力制御装置である首輪は、つけたマリアにしか外せれないから。
ゆっくりと瞼が開かれ、目にしたベリアルに向かって飛ぶ。
「うわあああっ! お許しくださいいぃぃ!」
一瞬とはこのことかと思うほどに、ベリアルは許しを請いながら弾き飛ばされた。
地面を舐めるように滑り、ベリアルは震えながら体を起こす。
「まったく。あれほど[あの方]には手出しをするなと言ったのに」
嗚咽を繰り返すベリアルの横から空間を歪ませて出て来たのは、緑色の長い髪の10歳前後の少女。
「メ…メイデン! [あの方]は、死んだはず…!」

