夜風に靡く、紫の長い髪。
 妖しく輝く紫の瞳。

 高位魔族の証。

「俺と一緒だ!」

 マリアは舌打ちをしてオキニスブレードを発動させた。

 ルーシュは初めて垣間見る、同じ種類の魔族を目の当たりにした。

「占い…げほっ…当たってほしくはなかったわ…」

 胸を押さえながら苦しそうに言うと、フェンリルはリカバリイの術をかけてやりながら抱き抱えた。

「あいつ、誰なんだ?」

 血を吐き出して冷や汗を流しながら答えを出す。

「ぺっ。"位の高い者"、アタシは領主のことだと思ったけど、こんな大物がでてくるなんてね…」

 あらかた治療ができ、自分の足で立つ。
 深く深呼吸をして指差した。

「真の名を呼ばれても力を失わない。ルーシュ・デモンの次に創られた存在。
 八十の軍団を率いる、虚偽と詐欺の貴公子。
 名を…ベリアル!」

 その名を聞いた三人は驚愕の声をあげ、空に浮かんでいるベリアルは不適に微笑んでいた。