銃弾は腹を貫き、そこから黒い物体が出てきた。
 フェンリルやルーシュが出した奇妙な物体だ。

「出たか」

 水柱が消え、外に出た黒い物体に向かって一発放った。

 ファブニルは腹を押さえ、なぜ自分がこんな状況なのかわからず、とりあえずフライの術を使って地上に降り立つ。

「目が覚めたか?」

「いたた…目が覚めたって、言われても…」

「特種な弾丸を使ってやったんだ。あとでミカエルから請求くるぞ」

 確かに、マリアの放つ弾丸は魔族を灰へと還す、エクソシストの銃弾。
 だがファブニルは灰になどならず、ただ傷痕が残るだけのもの。

 ファブニルは、一体どんな弾丸を使ったのか検討もつかなかったが、とにかく傷の手当をしないと話がまとまらない。

 自分の傷をあらかた治療したあと、差し出されたマリアの腕の傷も癒していく。