フェンリルはタバコを取り出し、頭をポリポリとかく。

「どったのあいつら?」

「何か俺達、誰かに操られてたんだってさ。マリアが言ってた」

 身に覚えがないが、そういえばさっき何かを吐き出したと思い、月明かりに見える黒く丸いものに目をやる。
 それはクルンと回転し、一つ目の眼球が現れ、ニヘラと笑った。

「きもっ!」

 ぴゅうっ! っと鳴きながら潰され、フェンリルは引き攣り顔で指差した。

「あれ何だったんだ?」


 ガガガガガッ!


 マリアに向けて三本の光りの爪が放たれたが、神聖呪文を唱えながらその隙間を通り抜ける。

「水はたゆたう癒しの如く
 風は吹き行く嵐の如く
 光りを纏いて導け!
メルクリウス・ハリケーン!」

 水柱がファブニルの回りに無数に現れ、それは竜巻に変わってファブニルを飲み込む。

「がぼぼっ!」

 マリアは術を放った後、銃を構えて腹に向かって撃つ。

『やりすぎっ!!』

 それを見ていた二人は同時に叫んだ。