「こないだのウニョウニョの踊り食いの恨みだ~いっ!」

 食べ物の恨みはやはりどこでも恐ろしく、フェンリルの腹に拳をクリティカルヒットさせ、次に回し蹴りを撃つ。

 フェンリルは地面に転がり、少量の血を吐いた。

 今度は顎を蹴り上げ、体が浮き上がったと同時に腹に思い切り蹴りを入れる。

「うごふっ! げほっ! カハッ!!」

 ルーシュと同様、黒い何かを吐き出し、咳き込む。

「もいっちょ~!」

 殴り掛かろうとすると、寸でのところで避けられ、ルーシュは顔を捕まれて地面に叩き付けられた。

「ぎゃん!」

「こンのバカ犬! 俺のイケメンな顔に何しやがる!」

 今度はフェンリルがルーシュを踏み付け、ルーシュはジタバタともがく。

「だってマリアがやっていいっつったんだ~っ! つかどこがイケメンなんだよ! 寝言は寝て言え~っ!」

 フェンリルは目尻をひくつかせ、更にルーシュを踏み付けながらマリアに目をやる。
 すると、マリアがファブニルと一戦交える姿が目に入り、フェンリルは瞬きを繰り返していた。