「くっ!」
ムチから手を離し、地面を転がりながら体制を整えた。
押さえている手には血が付いていた。
それをペロリと舐め、ルーシュを睨みつける。
「このバカ犬が! 貴様の主人は誰だ!! あぁっ!」
ルーシュは、闇のなかでも碧く光るマリアの瞳に躊躇し、次の一手を寸止めした。
その一瞬の隙を狙い、懐からワイヤーを取り出してルーシュを巻き付ける。
身動きが取れなくなったところを即座に押さえ、地面にたたき付けた。
「操られていても、カラダは覚えているようだねぇ? お前の主人は、誰だい?」
マリアの手に付いた血を、ルーシュの唇に触れさせる。
その瞬間、ルーシュの目が見開かれ、反り返りながら悲痛の叫びをあげた。
むせるように咳を繰り返し、口から何かを吐き出した。
ガウン!

