三人は同時にマリアの元へ走り、ファブニルとフェンリルは左右へと飛ぶ。
 ルーシュは短剣を抜いて、正面からの攻撃体制をとった。

 マリアはブーツに収めていた長針を抜き、フェンリルへと投げつけた。
 だがそれは空を通り過ぎるだけ。

 その間に背後に回ったファブニルは、マリアのヒールによって腹を蹴られ、地面に伏した。

 フェンリルはマリアに向けて飛び蹴りをしたが避けられ、その場には大きな穴を開けた。
 逃げたマリアに瞬時に追いつき、パンチや回し蹴りをくりだす。

 だが行動を読まれているのか、ケンカ慣れしているのか、マリアは軽々と避けてかわしていく。

 体を小さくかがませてフェンリルの背後を取り、持っていたムチで首を締め上げた。

「フェンリル? このあたしに盾突こうとは、いい度胸してんじゃないさ!」

 ギリギリと音を立てるムチに、もがき苦しむフェンリル。

「ぐが…あ…!」

 マリアの背中に、冷たい風が吹く。

 今度はルーシュが背後に回り、マリアの左腕をかすめた。