さっき庭を通った時には人影も、気配すらも感じられなかった。

 闇に紛れて後ろにいたのか?

 そして三人は己の武器を抜き、表情は虚ろで、瞳は深い闇のように鈍く光っていた。

 武器を構える三人を、驚きもせず見下ろすマリア。

 ナエルは脅えた顔になり、ドアの影に隠れた。


 ガギャッ!


 ルーシュはその場からマリアの足元へジャンプし、階段に剣を擦らせて嫌な音をたてた。

 続いてファブニルが鉄扇の光りの刃が襲い来る。

 マリアとルーシュはその場から離れ、刃は階段に大きな穴を開けた。

 更に追い打ちをかけるように、フェンリルがマリアの着地しようとしている場所に、土の槍を生やす。

 マリアは空中で一回転し、別の場所へと軌道を変える。

 着地したマリアはゆっくりと立ち上がり、腰からムチを出して地面に打ち付けた。

「魔族が魔族に操られているだと? ッフフ。馬鹿な下僕には、もう一度調教し直す必要がありそうだな!」

 三人にムチを振るい、髪をかきあげながら睨みつける。

「わからせてやろう。誰が主人なのかをな…」