2、3確認し合い……




彼は、



「…よろしくお願いします。」



そう言って…
右手を差し出してきた。



久住とガッチリと握り合うその手は……



思いの他ゴツゴツとした、『男の人』の手。




それが私の前に差し出されたもんだから……



突然、大きな緊張に見舞われてしまった。



湿った手で触れるのが申し訳なくて……



私はスーツのパンツに擦りつけてから、晴海くんの手を握った。



「…よろしくお願いします!」



あったかい……大きな手。




晴海くんが笑いを堪えているのがわかった。



なぜなら……



ホント判らないくらいに…
手が小刻みに震えていたから。




それでも流石は俳優さん、NGなんかは出さなかった。



私達は……
初対面。



周りに気づかれる訳にはいかないのである。




晴海くんが去り……




また、久住と二人きりになった。




「…戻るか。」



「…ハイ。」



「………わこ…。」



また名前で……



「わこ。今晩は…、空いてないか。」



「…………!」



それって……




「…俺はさ…、認めたわけじゃないんだ。」



「……?何が……?」



「…俺らが別れたこと。だってそうだろう?俺からはもちろん、お前の口から別れの言葉を聞いていない。ただなんとなく離れて行って……お前は俺を寄せつけなくなった。」



「……今更…、何で今更言うの?そんなこと……」



久住はじっと自分の掌を見つめ……


それを、グーに握りしめた。



「…今までわこを思い出さなかった日はない。初めから認めたわけじゃ…なかった。」



「………。」



「…今日、もう一度会ってくれないか。俺にチャンスをくれ。」