『……。近くにいるじゃん、いつも。てか…、今も。』


「うん、そうなんだけどネ。」





変な感じ……。


こうして、電話で話すなんて。


しかもこんなこそこそと……。




色んな意味で、スリルがある。



『…ねえ、今日はこれから何かあるの?』


「うん、一旦会社に戻って…それからひと仕事。」



『じゃあ夜は?』



「今日は定時で帰れるかな。だから、DVDでも借りて観る予定。」



『……じゃあ…、予定変更。』



「…ハイ?」


『昨日の穴埋め。俺、今日この撮影とインタビュー終わったら仕事終わりなんだ。』



「…………。」



『…そんなにDVD観たい?』



「…いや、そういう訳じゃ…」



『なら俺も一緒に観る。』



「……ええっ?!」



『コーヒーでも飲みながらさ。』



「………。あ。それが目的?」



『あ、バレた?』



「…バレるよ、そりゃ。」



『…なんて…、んな訳ないじゃん。それはただの口実。』



口実……?



「…それより…、クリスマスだよ?彼女と過ごさなくていいの?」



『もう一緒に過ごしたよ。』



「…え、そうなんだ。でも…、誤解…されるよ?」



『いいよ、別に。』



「……大事にしないと。」



『大丈夫、ちゃんとしてるから。』



「友達と言えど、異性の家に行くのって恋人からしたら嫌なもんじゃない?」



『……。そういうもん?異性に友達いたことないからわかんねーな。』



「…………。」



どう答えたらいいんだろう。



私は…


どうしたい?



『まあ確かに昔っから友達優先で…彼女に怒られたことはあったな。』



「…でしょう?私が彼女だったらそうなるかも。」



『そうなんだ……。』



電話の向こう側で…晴海くんがしゅんとしているように思えた。