「あはははっ!やべ、腹いてー……」



腹を抱えて笑っているのはなんと晴海くんで……




その隣りで、菱沼いちかも必死に笑いを堪えていた。





「…す、すみません…。」




…が、


その間も、どんどんシャッターがきられていく。








「……OK!」



「宇野さん、いちかさん、休憩入りまーす!」



スタッフの掛け声と同時に、晴海くん達の周りに、ヘアメイクさんが駆けてけてきた。



椅子に座った晴海くんは、いつの間にか髪型が変わっていた。



「…平瀬、よかったな。」


「…ハイ?」


「良くも悪くも、有名俳優に印象づけられて。…やべ…、今頃可笑しくなってきた。」


「…も~…、こっちはおお恥かいたってのに。」




私はムッとして、笑う久住の肩を小突いた。





「お前らしいよなあ。しっかりしてるようで、案外こういうことやらかすあたりが。」



「…どうせ…。」



「でも、だからかな。…放っておけない。」



「…え…?」



それって…



どういう意味?




久住は笑うのをやめて……


真剣な顔つきで、私を見た。



「…わこ。俺達……」



「久住さん。」



久住の言葉を遮ったのは…



晴海くんだった。




なんていうタイミング…。




「いちか!お前も来いよ。」



「………。」



『いちか』?
『お前』…?




「すみません、お待たせして。お話を…聞かせて下さい。」



「…ええ。あ…、すみません、ちょっと待って下さい。」



動揺した様子で……


久住は慌てて鞄からファイルを取り出した。



…が、



バサバサと音をたてて、中の資料がフロアへとばらまかれた。