胸がざわざわと音をたてていた。




「「…………。」」



二人の沈黙の間を……



シャッター音が切り裂いていく。




それにしても……




「…カッコイイなあ……。」




目が回るほど眩しい光の中で…


汗ひとつかかずに、涼しい表情でカメラマンの声に応えていく晴海くん。



その距離が……



何だかとても遠くに感じていた。





「…珍しいな。」



「ん?」



「…お前がタレントに興味持つの。宇野晴海、好きなの?」



思いもがけない「好き」のフレーズに……



「…ま、まさかっ!」



私はつい、声を荒げてしまった。





「…あ……。」



気づいたのも後の祭り。



カメラマン、そして…
いちか、



それに加え……



晴海くんが、一斉にこっちを見た。




「……平瀬。」



久住が私の名前を呼ぶ。



「…あ…、す、すみません……。」



私はよろよろと再び腰かけようとするが……




立ち上がった勢いで、どうやら椅子は予想以上に後方へと下がっていたらしい。



今度は思い切り尻餅をついて……



見事に転んでしまった。






「…………。」




すぐには状況を把握できず…



数秒間、呆ける。



すると……




「わこ。大丈夫か?!」



久住が目の前に、手を差し延べてきた。




「…は、ハイ……。」




ようやく何が起こったのかを把握して……



顔に蒸気が上がる。







さ………、最悪!!






「ぶっ……」



誰かがふき出す声。



「…え……。」