「我が儘言ってすみません。少し…お待ちいただけますか。」



「…もちろんです。」



晴海くんはスタッフを呼ぶと…


一瞥して、私の目の前を通り過ぎた。




しばらくすると、先程晴海くんと話していた若いスタッフがパイプ椅子を持ってきて…


「どうぞこちらでお待ちください。」



そう言って、座るように促した。



「…あ、いえ大丈夫です。」



慌てて久住は断るが……



「晴海くんからの申し付けですので。」



その人はニコリと笑った。



「すみません、ありがとうございます。」



久住が素直に腰を下ろすのを見て……


私も、その隣りに座った。






カメラが小気味よいシャッター音を鳴らして…



その度に、晴海くんといちかはポーズを変えながら…撮影は進む。




「…なるほどね…。」



久住がじっとその様子を見ながら…



呟いた。




「…何がですか?」




「若いのに、大したもんだなって。」



「………。」



「椅子用意して貰ったのって初めて。」



「…へぇ…。そうなんですか?」



「それに…、ちゃんと話を聞きたいって。真面目なんだな。」



「…そうですね。」



「…俺らと大して歳変わらないんだよな?」



「…私と同じ…25歳です。」



「…詳しいね。」



…そう来たか。



「そっちが振った話ですよ。それに…、資料のプロフィールに記載されていました。」



「…仕事熱心だな。」



「…いえ。当たり前のことです。そっちこそちゃんと確認してなかったんですか?」



「…面目ねーな。忙しいのを言い訳にしてるのはこっちの方か。お前に偉そうなこといっておきながら…。厳しい言葉浴びせていたか。…ごめん。」



「………いえ……。」




何で今更…


謝るのよ。