ソラナミダ

私は早速タブを開けると…


一口、それを含んだ。



「…ブラックかよ…。」



嫌でも目ェ覚めるじゃん。




【朗報】…か。
言ってくれるなあ…。





彼が私に求めるものって、一体なんだったのかな……。







慌ただしく動き回る人に…


デスクでアタマを抱える人、



目を何度も擦りながら、パソコン画面と格闘する者もいる。


その中で……



久住はなにひとつ泣き言を言わず、しゃんと背筋を伸ばして……


社員に指示を出していた。



「……さすがだなあ…。」



会社での信頼は絶大。
それも去ることながら、人気も絶大。



人として、上司として…
尊敬していることには変わらない。




ならば、それ以上の感情は……?



「…………。」




私は彼を…


今でも好きだと言える?




トイレから戻り、思わず久住に気を取られていると……




「……あっ、平瀬。」



うかつにも、目が合ってしまった。




「…は、はい!なんでしょう?」



しどろもどろ~、な返事。




「お前何処行ってた?」



「何処って、ちょっとトイレに…」



「またか?」



「だって誰かさんがコーヒーくれたから。それ飲んだら…」



…トイレが近くなりました。

…な~んて、やっぱり…い、言えない…。




「……?いや、お前がいないスキに、また電話あったぞ。あたりにもパタパタしてて名前聞きそびれた。なにか言付けあるか聞いたけど…『大丈夫です』って電話切られちゃうし。…やっぱり若い男だったな。」



「………?」



誰…?





「彼氏かあ?」



久住の言葉に、皆がこちらに振り向いた。




「ち、ちがっ…。もう、久住さん!さっきも違うって言ったじゃないですか!」



かぶりを振って、再度否定する。