ソラナミダ

賢くて、
それなのにそれをハナにかけなくて……


まあ、なんだかんだ…

いつも助けられる。



「…あ!久住さん。」


美帆が突然呼んだ名前に……


「…えっ。」


つい……


反射的に顔を上げる。




「…なーんて、ウッソ~。」



「…なにそれ~。」



「まあまあ、そんな失恋引きずるわこちゃんに…プレゼントFor you♪」



美帆は私のデスクの上にぽんと何かを置いた。


      、、、
『どこんじょウコン』


…ドリンク剤。



ちなみに我が社でCMを請け負った大ヒット商品でもある。



「サ~ンキュ~。」


毎週お世話になっているソレを私は有り難く頂戴する。



「…じゃあ今日は立ち呑み『のんべえ』で。」

  、     、
「『は』?『今日も』でしょう?」


「…そうとも言う。じゃあまた後でね。」


「うん。」


「…あ。忘れるとこだった。」



「…ん?」



「三ツ葉保険の打ち合わせ…、アンタも同席しろって話。」


「…えっ…。何で?!」


「営業の加地さんが胃腸炎酷くてとてもじゃないけどミーティングは…。…で、アンタなら上手く立ち回れるだろうから、久住さんのサポート役で目ェ付けられたみたい。ナイスコンビ復活…みたいな?」



「…………。美帆……。だいぶ肝心な話だったね。」


「…あはは…、まさか別れたとは思ってなかったもんで…。…で、加地さんから預かった資料がコレ。じゃあ…まあ、頑張って。」



ドサッと……


会社の水色封筒が置かれた。




「…はは…、どーも。」



…なんてこった。




美帆はそそくさと去っていき……


私はポツンと取り残される。




「…平瀬!」


背後から…
聞き覚えのある声が降ってくる。