撮影を終えて。
次から次へと…スタッフの方々と、挨拶を交わした。
いつもとは違う…感覚。
見る者と見られる者とでは、こうも緊張感が違うのか……、
疲れているのに、シャンと背筋が伸びる。
「……オンエアされるのは、12月からでしたっけ?」
「…ああ。クリスマス商戦ってヤツだな。」
木村さんと晴海くんの会話を……
私は、一歩離れた所で。
ぼんやりと…聞いていた。
終わってしまえば……
嫌でも見えてくる…境界線。
晴海くんと私の……
適切な…距離。
「………。平瀬さん。」
俳優、宇野晴海は……
その距離を…知っている。
さっきまで躊躇なく私に触れたその手も。
惜しみなく注いでくれた笑顔も。
ここでは……
まるで、なかったかのように……
見事に他人行儀で。
「……楽しみにしてます。」
「……。ええ。…ありがとうございました。」
互いにのばした手は……
そこにあったはずの温もりを。
確かに存在した…時間を。
伝えあっては………
離れていった。
最後に、顔を見ることは…
できなかった。


