「OK……!確認入りま~す!」
「………。………は?」
途端に。
引き離されるかのように……。
私は女性スタッフへと手を引かれ、近くに用意された丸椅子へと…座らされる。
「メイクの桑原です。よろしくお願いします。」
「……??よ、よろしくお願いします……?」
訳もわからないままに、再び…メイクされていく。
一方の木村さんは、というと……。
数名のスタッフと、モニターチェックをしている。
「…………??」
晴海くんの姿を探すと…。
彼もまた、ヘアメイクさんに…髪をいじられている。
「………。木村さん!なんですか…、コレ。」
「なにって…、CM撮影だけど?」
木村さんはしれっとした顔でそういい放つけれど。
「………。ん…?可笑しくないですか?」
ナニカが…おかしいでしょ。
「可笑しいことあるか。作り手と演じ手の一体感…だろ?見事に体現できてたじゃないか。」
「これは…リハでは?」
「………。」
「………あれ……?だって、晴海くんリハだって……。」
………。
………もしかして……
嘘……?!
再度晴海くんの方を見ると……、
彼は、すっかり…
俳優、宇野晴海の…顔。
「ネタばらししてやろうか。」
木村さんは、意地悪くニヤニヤと笑いながら…
身動きできない私の元へと…、近づいてくる。
それから、目の前にしゃがみ込んで。
言葉を…続けた。
「クライアントは話題性を求めていて…、早い段階から、晴海の起用を決めていた。」
「……え。」
「久住はそれを知っていて…、修正案を持ち込んだ際に、キャストの調整をはかった。」
「…………。」
「先方はお前らのプレゼン映像を見て…お前の起用に反対などしなかったよ。」
「……んな馬鹿な…。」
「確かに大根だけど…、この映像には台詞はない。おまけに…、だ。晴海と撮ることによって…お前はあの時以上に化ける。そう掛け合ったら、二つ返事でOKが出た。久住も粋なことするだろ?」


