「……お久しぶりです、木村さん。……平瀬さんも。」
「……………。」
…目の前にいるのは……
晴海くん。
「いい画を撮らせてくれよ。」
久しぶりでも何でもないはずの木村さんは…
にこりと笑って、軽く頭を下げた。
………何コレ……?
待って。
何の覚悟もできてないのに……
ここで再会って……。
「平瀬さん、ちょっと……。」
離れた場所から、晴海くんが…手招きする。
「………?」
どうしたら良いのか解らずに、呆ける私の元へと…
彼が近づいて来る。
すぐ目の前に……
彼がいる。
「………。こっち。」
「え。……ええっ?」
不意に取られた手を、振り払うこともできず……。
光のある方へと、
なされるがままに…連れていかれる。
「……あの……?」
ライトが……熱い。
「本撮りの前に…リハさせて。」
「…………?!」
……は?
「……いいから、こっち。」
私達が居るその場所は……
白を基調とした、オフィスの中。
ウチの会社とは比べ物にならないくらいに…
綺麗に片付いていて。
所々にある小物が…お洒落な空間を演出している。
私達が「デスク」と呼ぶであろうその場所の椅子をひいて。
「……どうぞ。」
座るようにと…促された。
「何……するの?」
「……。リハって言ったじゃん。」
「……………。」
それは、つまり…?
向かい合う晴海くんの手が……、
私の頬へと触れる。
「………?」
「……目、瞑って。」
そっと瞳を閉じて……。
彼の声に従う。
柔らかいものが、頬に触れて……。
肌を、優しく…滑っていく。
これは………、
そう、
私達が作った…CM。
私は今、愛する人の手によって。
華麗に…変身を遂げていく。


