「……いよいよですね。」
「ああ。」
「…なんか、ドキドキします。」
「今のうちにいっぱいしておけ。」
某テレビ局。
CM撮影スタジオ。
その、セットの前に。
私と、木村さんは…
本撮りが始まるその瞬間を……
待っていた。
映像ディレクターとして立ち会う木村さんに、同行を許可してもらい…、
高揚する気持ちを必死に抑える…私。
今日撮った映像は。
それで完成…、とは…ならない。
これから、会社に持ち帰って、いくつもの編集作業を行う。
フィルムカットされた映像を…
繋ぎ合わせたり、削除したり。必要に応じて…CG加工をほどこしていく。
それに、音楽がナレーションの音入れをして。
GOサインが出れば…、
そこでようやく、完成に至る。
ひとつの抜かりもなく作り上げるには…。
生で見る役者さんの一瞬の表情を…、見逃したくない。
頭の中で、何度もシャッターを切るようにして……
ストーリーを作り上げていくのだ。
「………。平瀬。お前…、最高の現場に、最高のどスッピンで来たのか。偉い度胸だな。美しい方々に囲まれて目立つ目立つ。」
緊張する私を見兼ねたのか……、
木村さんは私の顔をじっと見据えながら…
横ヤリを入れて来る。
「一応ファンデーションくらいはしてますよ?美帆直伝、スッピンメイク。」
「………。なる程。いい心がけだ。」
「はあ??」


