「ああ。そのことなんだけど。」
黙って後ろをついて来た博信が……
突然、会話に割り込んでくる。
「先方の担当者が、起用する俳優を打診してて……。」
「「「早ッ…!」」」
「コンタクトとったらしいんだよね。」
「……へぇ~、大手は仕事が早いね。」
私と美帆が、すっかり感心しきっていると。
「……追いつけよ、お前らも。モチベーションを相互に高めていかないと…駄作になりかねない。平瀬。演じ手をやってみて…何か収穫はあったか?」
「………。……そうですね。さっき思い切り大根扱いを受けましたけど、映像は…嘘をつかない。やっぱり女優さんって凄い。演じ手がまるで空気みたいに…その世界を表現しちゃうんだから。きっと…、作り手と演じ手の一体感……。それが、全てを物語るのかもしれません。」
「……だろ?一秒のズレでも…印象が変わる。つまり、どこにも手を抜いてはいけない。入り込む隙間を与えないくらいに、主張を訴える。今のお前らなら、そーゆー仕事ができるんじゃないか?」
「…………。」
今の……
私達?
「………。いい顔してる。若い頃の俺に勝ると劣らないくらいに。」
「……。自分を基準に比べないで下さいよ。」
博信が……
ピタリと、歩みを止めた。


