「……美帆…、お願いがあるの。」
昼休み………。
先に休憩に入った美帆の後を追って……。
給湯室へと、訪れる。
「……何?」
彼女は私に背を向けたままで。
カップスープに…お湯を注ぐ。
美帆が、私をどう思っているかなんて…わからない。
だけど、私達は……
いつも、真っ正面からぶつかっていたじゃないか。
「………。早く話してよ。知ってるでしょ?もずくスープを待たせると激マズだって。」
……知ってるよ。
美帆の好きなものも、
嫌いなものも、
うじうじとされるのも大嫌いだって……知ってる。
「……。一緒に、仕事しよう。」
「………?してるじゃない、いつも。」
「そうじゃなくて。久住さんが持ってきたベリーズのプランニングに…、協力して欲しい。」
「……はあ…?」
美帆が、恋沙汰が大好きなことも、酒とお洒落が好きなことも、
……知ってる。
「わたし、ただの事務だけど?」
「私には…、限度がある。私の知らないことも、美帆なら知ってる。」
「…………。」
「……美帆にしか…、頼めない。久住さんの…、最後の仕事なの。」
同じ人を好きになったことを……後悔は、してはいけない。
違う価値観で物を見て、
また、違う関係を………
築いていければいい。
「………。…また、謝るのかと思ったら…、そう来たか。」
「…………。」
「馬鹿じゃないの。」
「……うん。」
「…………。もずくがまずくなったら、アンタが食べてよ?」
「……うん。」
「泣き言なんて聞きたくないから。」
「うん。」
「めんどくさいことは嫌い。」
「うん。」
「……だから……、アンタが全部責任負って。横から茶々入れるだけなら…得意だから。」
「…!…うん!」


