デスクに戻り、早速、クライアントが要望するコンセプトを…紐といていく。
「…………。」
「……平瀬。」
不意に…、名前を呼ばれ、振り返ると。
目の前には……
博信。
「ベリーズの件について、打ち合わせしたいんだけど…、それ持って、小会議室に来てくれないか?」
「……!…はい、わかりました。
博信はそう言い残して…、
先に、場を離れて行く。
私は後を追うようにして、席を立ったけれど…。
ふと…、気になって。
ある人の方へと…振り返る。
「…………。」
美帆………。
きっと彼女も。
博信の話は…知っているはず。
ここ最近……
美帆が、博信と話す姿は…見ていない。
今だって…、ほら。
多分、気づいているはずなのに…
まるで興味などない、というかのように。
こっちを見ようとは…しない。
二人の関係に立ち入る資格はないとわかっていても。
やっぱりどうしても……
気になってしまうのだ。


