ソラナミダ






私は、まだ眠たい目を擦り合わせて……



鳴りつづける携帯のアラームを止める。







「……木村さんの…アホ~う…。」




労働基準法などあったもんじゃない。




私の決意を逆手にとった彼は……、



自分の抱える仕事を、ご丁寧にも私へと回して下さった。





「初心に返った気分だろ?頑張る若者は清々しいねぇ~。」


なんて…、上手いようにこき使われ。



だけど………




確かに、細々とした雑用でさえ…楽しく感じた。



仕事に対する情熱、やりがい。



それら全ては…ここから。小さなことから、始まっていたのだ。






「……眠い……、けど…起きなきゃ!」




ガバッとベッドから飛び起きて。



テレビを…つける。










『昨日世間を賑わせたカップルより…、各メディアにファックスが届きました。なんと…お二人の連名なんですね。』






「…………は……?」





また、一体……



何事?!




思わずテレビにかじりついて……



文面を読み上げる女子アナの声に…、耳を傾ける。









『「この度、私宇野晴海と、菱沼いちかの報道について、関係者および、ファンの皆様にはご心配、ご迷惑を掛けてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。一部報道にありましたように、私達が、過去に施設にて生活を共にしていたことは紛れもない事実であり、今現在も互いに兄妹のような存在として、また、仕事の仲間として、尊敬し合い大事に思う気持ちに変わりはありません。今後も、二人共にますます高みを目指しながら、仕事に励んでいく所存です。皆様にはどうか温かく見守っていただければ幸いです。これからも変わらぬ応援をどうかよろしくお願い致します。……宇野晴海、菱沼いちか」………と、最後には直筆のサインを添えております。お二人の事務所双方共に、恋人関係はハッキリと否定していまして…、熱の入った報道に少々戸惑っているようなんですね。それから…お二人が会っていた日においても、いちかさんの精神状態を考慮して、事務所の判断で宇野さんと会うようにしたとコメントしていて…、二人の深い関係性を認めてらっしゃるんですね。』