エントランスを出ると、
沢山の報道陣たちが……
マンションの前をとり囲んでいた。
「すみません、こちらのマンションの住人の方ですか?」
品の良さそうなおばちゃん記者が…私に、マイクを向ける。
「………はい。」
この人、よく見るリポーターだ。
確か……、K社の…。
「あの…、こちらに宇野晴海さんが住んでらっしゃるのはご存知ですか?」
「……はい。」
「ちなみに…女優の菱沼いちかさんもよくいらっしゃるようなんですが…目撃なさったことはありますか?お二人が一緒の所ですとか……」
「……ありません。……あの、」
「……?ハイ?」
「こちら朝のワイドショーなんかでも放送されますか?」
「…え、ええ?」
私は、リポーターさんのマイクを奪って。
テレビカメラの方へと…振り返る。
「……じゃあ。………宇野晴海さん!!……逃げてんじゃ…ないわよ。言ってる意味がわかるなら……帰って来て。」
「え、え?今のはどういう?」
「あ、顔隠すように編集して下さいね。」
「こちら、生放送ですが……。」
「……………!!」
なんて……こった!
「今のは…冗談です。では、私はこれで。」
朝イチの……
衝撃。
だけど、今の私には……
どうでもいい。
晴海くん、君にさえ……
届けば。


