「泣けたら…、スッキリするのかな。奴みたいに……泣きたい時に泣けたらいいのに。」
もう、寝れるはずもなく……。
仕方なく、テレビのスイッチを入れる。
いつも見ているワイドショー、『めざめテレビ』のオープニングが……
始まっていた。
「おめざに……、コーヒーでも飲むか。」
キッチンに行って、コーヒー豆を…物色する。
豆の種類は、確実に増えていて……。
彼がいたその形跡を…残している。
「馬鹿だな、もうコーヒー飲めないんだから。」
皮肉まじりの…ひとり言。
むなしいとわかっていても……
こうやって、自分を励ます他ない。
豆を挽く音は、やっぱり心地がよくて。
それを見て嬉しそうに笑う晴海くんの笑顔が…思い浮かんだ。


