彼がいたのは……
あの、画面の…向こう側。
そう思えば……
寂しくない。
彼は、二度ともう……
ここには、来ない。
「……嘘…だったんだ……。」
ここで…一緒に時を過ごしてきたのは…まぎれもなく彼だった。
私を傷つけようと、近づいただけで……
好きじゃない、好きだった訳がない。
「………………。」
けれど………
どうしても……引っ掛かるのは。
あの…涙。
騙したくて騙したはずなのに。
あんなに…苦しそうな顔をして。
悪者に……、なりきれていない。
泣く必要など…、なかったはずだ。
「…泣きたいのは……こっちなのに。」
それでも…、私はまだ…、泣けない。
彼が私にした行為。その理由を知らないから……
だから、私は泣けないんだ。