「………。……何でって……。……繋ぎたいから。」
「………。答えに…なってないね。」
「………。うん…。でも、ただ…こうやって、普通に…わこと並んで歩きたいって思った。二人きりで、誰にも……邪魔されずに。」
「…………。どうして…私なの?」
「どうして……かな。」
「その相手は…、いちかさんじゃないの?」
彼の伸びかけた手は……ゆっくりと宙を切り、
そのまま、だらんと…
下ろされていく。
街灯のない暗がりが、
君の笑顔に…陰りを挿す。
「……わこは…、どんな答えが欲しい?」
「……え?」
「今は、まだ…言えない。少しだけさ、付き合ってよ。夜中のデート。」
「………。」
「わこがどう思って来てくれたのかは…、わからない。でも、今…、ここにいる。俺の、目の前に。だから……、今だけは、全て忘れて…、一緒に居て欲しい。」
「………。」
「大丈夫、もう手ェ出したりしないから。」
「………!」
「ちゃんと……帰すから。」
「………ずるい。」
「………。」
「…ずるいよ、いつもそうやって…はぐらかそうとする。貴方の本心が…見えない。」
「…うん、そうかもね。……ごめん。」
「どうせ謝るなら…、ハッキリしてよ。電話しても、メールしても応えてくれなかったくせに、自分の都合のいい時ばかり………。惑わすくらいなら…、ハッキリ言ってよ。『好きじゃない』って。」
「…………。」
「私達は……、間違えた。友達の枠は越えられない。解ってるくせに…、お互いに、本当は解ってるくせに……!」
無茶苦茶言ってるって…解ってる。
でも…、今じゃなければ、彼がいる今じゃなければ、
この感情を…ぶつけることは…できない。
私達は……確かに近くに住んでいて、
確かに…近い距離にいて、
それなのに……
向き合うことができない。
いつだって、背中合わせ。
お互いに……
住む世界が違う。
見ている世界が…違う。
一番近くて、
一番遠い……存在。
「……。……行こう…、わこ。ちゃんと……話すから。だから…、お願い。今だけは……少し、側にいて。」
「……………。」


