マンションの部屋に帰ってきて。
いつもの定位置に…鍵を置く。
それから、真っ直ぐに脱衣所へと向かって…
汗くさいブラウスを、脱ぎ捨てる。
「…………。」
サブリナパンツを脱ぎかけたところで。
ちゃりん…、と…
何かが落ちた音がする。
床を見ると……。
10円玉が、足元に…転がっていた。
「………。……前にも…こんなことがあったっけ…。」
洗濯機の下へと潜りこんだ指輪……。
それを、拾い上げて…。
この部屋を、飛び出した。
それは……、
彼に出会った時の…記憶。
あの指輪を拾わなければ。
私と晴海くんは……
知り合うことは…なかった。
タクシーの運転手さんが言うように、
出会いもまた…、
偶然………だった。
「………会いたい…。」
木村さんが……
いちかさんが……
この恋を、否定する。
なのに……。
さっきのは……何?
全くの無関係のはずのおじさんに……
彼は一体……何を言った……?
………矛盾だらけだ。


