ソラナミダ








ランチタイム…。



木村さんに誘われた私は、彼と共に…近場のカフェへと訪れていた。



「遠慮はいらない」と、木村さんは私の好きそうな物を次々とオーダーし、可愛らしい器に入れられたヘルシーな料理が…目の前に並んだ。




「………。なんか…、木村さんとカフェにいるのって可笑しいです。」



思わず…くすり、と笑うと。



「俺だってこんなOLで溢れる洒落たカフェなんて好んでは来ねェよ。」



はあっ、と、溜め息をつかれてしまった。



その通り…、木村さんは女性ばかりの店内に、目のやり場に困っているかのようだった。





「……申し訳ありませんでした。」



木村さんが手渡してきたフォークを握りしめたまま、私は頭を下げた。



「………。まあ、今の所はクライアント側に迷惑がかかるような行為はないようだから、それだけはホッとした。」



「…すみません。」



「会社としては、何も損失を受けたわけじゃねェ。ただ、イチ個人に対して謝るなら、まさにその通りだ。」



「………はい。」



「料理が冷めるぞ。まずは食いながら話そう。」




「…はい。」










二人料理を口にしながらも、なかなか本題へと切り出すことは…できなかった。



「…これ、旨いな。」


「はい。」



そんな…料理の感想ばかりがついて出て。





痺れを切らしたのか、彼はフォークを置いて……




その、口火を切った。












「…FAXの犯人だが…。」



「…え?」



「……菱沼いちかではないか?」






思いもがけない木村さんの台詞に、握っていたフォークを落としてしまう。



気づいた店員さんがそれを拾って、「新しい物をお持ちします。」とテーブルを離れた所でようやく……



私は、重い口を開いた。







「…何で…そう思うんですか?」



「…………。大方の検討はつく。今朝のワイドショーを見なかったか?」



「……?今朝は、時間がなくて…。」



「……そうか。…今朝のスポーツ紙の芸能一面にも載ったよ。菱沼いちかが、昨日仕事をすっぽかして姿を消したと…報道されていた。」



「………!!」