バサバサと音を立てて…、
その紙は、私の足元へとちらばっていく。
「………。大丈夫か、お前。」
呆然と立ち尽くす私を見兼ねて、木村さんが一枚ずつ、ゆっくりと…拾いあげる。
好奇な視線が注がれるその中で……
「都築。今すぐそれをシュレッダーにかけろ!それから…、各自、仕事に戻れ!」
彼はひと言そう告げて、拾いあげた用紙を破っては…
ごみ箱へと落とし入れた。
「…これは必要のないものだ。違うか…、平瀬。」
「………。」
「仕事には、関係ないものだ。」
「……はい……。」
「それとも。お前は会社までをも巻き込みたいと思うか?」
「…いえ。」
「なら、これにはもう目を通す必要はない。」
「……はい。」
木村さんは、何もかも見透かすようにして…、
私の足元からじっと視線を上部へと移動して。
最後に……睨むような鋭い眼光で、目を合わせた。
「………。馬鹿な奴だ。」
「………!」
「昨日ここを出ていったままの格好して…、自ら非を認めるようなものだ。」
「…これは……」
「…もういい、話は後だ。言い訳くらい聞いてやろう。ただし、上司としてではない。イチ男として…だ。」
「………。」
「以上。……お前はとりあえずデスクに戻って、都築のコンテに目を通せ。世に出せるような作品になるようにアドバイスくらいならできるだろ?」
「……え……?都築くんの…?」
「…昔のお前みたいに…アイツには閃きと、勢いがある。」
木村さんは自身のデスクから数枚のプリントを持って来ると…、
それを、私の目の前に掲げた。
「……俺はこれを提案出来たらと思っている。後輩にしり拭いされる気分はどうだ…?」
「…………。」
「…お前が他の事に振り回されている間に、奴は何枚もの紙を破り捨てて……これに賭けた。誰も見もしねーかもしれないってのに…。」
それは。
タナウチ製紙に依頼された、新製品のCM絵コンテ。
「お前はこのプロジェクトから降りてもらう。」
「…そんな…!」
「今のお前がどう足掻いた所で…、世間はおろか、この場にいる人間を納得させるようなものが作れるとは思えない。」
「…………!」


