行く宛てもなく……
暗くなった夜の街を…さ迷い歩く。
家に帰れば、
壁の向こう側には…彼等がいる。
『あなたには、わからない。どんなに近くにいようと…、彼に近づくことはできない。』
そんなの、……わかっている。
私は。
そのくらい…彼のことを知らない。
彼にはいちかさんがいて、
私には…博信がいる。
どうにもならないって……
わかってるはずだったんだ。
少なくとも、彼と触れ合うまでは……。
『隣りの部屋で……自分のしたことを悔いればいいわ。』
………隣りの…部屋…?
「………帰れない。」
帰れる………ものか。


