どうする……、私。
説得して帰してくれ、と頼まれたはずだった。
けれど…私の勝手な判断で彼女を家に泊めた。
説得すらできていたのか、些か…疑問は残る。
彼女の身に何かあったら……、
私の……責任だ。
私はギュッと拳を握りしめ。
カツカツとヒールを鳴らして…ある人の元へと向かう。
「……木村さん。」
「ん?なんだ~?」
「……あの、お願いがあります。」
木村さんは椅子をくるりとこちらに向けて、じっと私の顔を見ると……。
「………。断る。」
そう…ひと言で片付けた。
「まだ何も言ってません!」
「どうせあれだろう?タナウチ製紙の話。俺はヤダからな、学生時代の恨み忘れたわけじゃねえぞ。だいたいアイツはいけ好かねんだよ。」
「木村さん。」
「うまいことツテ辿りやがって…。今更都合いいんだよ。」
「…木村さん!」
「ああ?だから、俺はこの件は……。」
「プライベートを仕事に持ち込むなという気持ち、よくわかります。」
「………。お前、喧嘩売りに来たのか。」
「違います。けど…、今、どうしてもしなければならないことがあって…。さっき言った宣言を撤回しに来ました。」
「……ハ?何の話?」
「タナウチ製紙の件は、私達で全力で手がけていきます。でも……、自分の尻拭いすらできない私に、あんな滑らかトイレットペーパーのCMなんて…作れません。」
「…ぶっ…!お前、恥じらいもなくなんちゅー下品な話を…。」
「……すみません、今日これから…休暇を頂けませんか。」
「は?………お前、今日はこれからSyono製薬のオールスタッフミーティングに参加予定だったろ。」
「……はい。それについては、加地さんが説明することになっているので大丈夫かと。」
「……。晴海…、か。」
「………。」
「男の為に、仕事に穴を開けようだなんて…馬鹿げてる。」
「…わかってます。でも……」
「大きな仕事だ。次のチャンスを掴むきっかけにもなる。それを…棒に振るのか。」
「それでも、後で後悔するよりはマシです。」
「……。賛成はできない。」
「それでいいです。甘えなどこれ以上…必要ないです。」


