都築くんにコーヒーを手渡して、
それからようやく……
携帯を手に持つ。
一体どんな話をされるのか、皆目見当もつかないけれど……
何だかとても、怖かった。
声を聞いた瞬間に…一気に君に引き込まれてしまいそうで。
震える指で……
通話ボタンを押す。
コール音、3回 ……。
『もしもし、わこ。良かった、電話に気づいて!』
電話に出た晴海くんは、少し早口で…緊迫した様子だった。
「……何?」
緊張が……伝わってくる。
『あのさ、いちかって何時までわこの部屋にいた?変わった様子は?』
まくし立てる言い方……。
「今朝早くに仕事があるって言ってた。私が起きた頃には、もう……。」
『ああ、そう。…わかった、ありがとう。…じゃ…。』
……え?
それだけ…?
「あのっ…、」
『何?』
………。まるで、もう…用済み?
「いちかさんが…どうかした?」
『大丈夫。…何でもない。』
何……それ。
「何でもないなら、わざわざ電話かけて来ないでしょ?しかも、木村さんまで使って……。」
『ごめん、仕事中に。とにかく、大丈夫だから。』
「………。今更…、私は関係ないって?」
『いや、そっちは仕事中だろ?』
「後戻りできないって言ったのは、そっちだよ?」
『…………。』
「今、どんな気持ちで電話してると思う?」
『……悪いけど…、急いでるから。』
「……え…?」
『また後で、連絡する。』
「あ、ちょっと……」
…と言った頃には、既に耳元では無機質な機械音が鳴り響き……。
「…………。今の電話、久住さんですか?」
都築くんの鋭い指摘に、
「……ううん。ちょっと友達と……」
上手く言い訳できない自分がいた。


