「………平瀬!」
不意に…ドアが開いて。
給湯室へとやって来たのは…木村さんだった。
「…あ。木村さんもコーヒーですか?すみません、今……」
……と、
木村さんは、首を横に振る。
「……そうじゃなくて。」
「………?何ですか?」
「お前、ケツに携帯入れてるはずだよな。」
「……。やらしいですよ、その指摘。」
「あのな、俺はもっとこう…上に上がったケツが好きだ。安心しろ、平瀬のケツにゃ間違っても発情しない。」
「…………。何なんですか、ホント?セクハラって言われますよ?」
そんなことを言う為に…わざわざここまで来たの?
「なぜ……、無視するんだ。」
「……はい??」
「携帯、着信が来ていただろう?」
「…………!…え?電話下さったんですか?いつもホラ…、そう、仕事中はサイレントモードにしてるので…気づきませんでした。」
「ほほう?」と木村さんはニヤリ、と笑って。
どこからかスマフォを取り出すと……
操作を始める。
ブー……ブー………
「……………。」
……しまった。
めちゃめちゃ鳴ってんじゃん……。
「嘘はいけないな。」
「……あ、あれ?ちゃんとバイブになってましたね。きっとさっきまでパタパタしてかたら…それにすら気づけなかったんですかね。」
「…………。上手い言い訳だなあ。」
「…………。」
「…で、奴からの連絡を無視するその心は?」
「…………。知ってるなら、周りくどいこと言わないでください。いや、それよりも……なぜ木村さんがそれを?」
「バカヤロウ。散々人を巻き込みやがって……。お前の遅刻の原因も、もしかしてあいつだと言うんじゃないだろうな?」
「………?!」
「………な、ワケはないはずだけどな。」
「……………。」
「バカ正直に顔に出してんじゃねーよ。お前は…嘘つけないタチなんだな?」
え……?
顔に…出ている?
「まあいい、俺がとやかく言おうがそれは当人同士の問題だ。だが…、俺にとばっちりをよこすな。晴海がお前に…連絡とりたがっている。至急電話してやってくれ。それとも都合悪いなら…二度とお前に関わるなと説教してやるが?」


