ソラナミダ

「いいね、元気そうで。引き止めてごめんね。じゃあ…いってらっしゃい。」


「…ありがとう。『いってきます。』あ、ハルミくんもだね『いってらっしゃい』。」


「…『行ってきます』!」



なつっこい笑顔をもう少し見ていたくて……


自動ドアを出るまで、手を振り続けた。



「あれ、平瀬さん?」


突然、すれ違う男の人に声を掛けられた。


「…あ。鷲尾さん…ですよね。」


「そうです。昨日は、ありがとうございました。…平瀬さんは今からお仕事ですか?」


「ハイ。鷲尾さんは、ハルミくんを迎えに来たんですか?」


「……。何で知って…。」


「迎えが来るって言ってたので。…そこで待ってますよ。」


「え?下に来てるんですか?」


「…そうですけど…。


「珍しい。」


「え?」


「いや、なんでも。では…、失礼します。」


「…どうも…。」




マンションを後にすると、目の前に後部座席にスモークのはられた黒塗りの車が停められていた。


まさか…、
これに乗るの?


まさか、ね…。