「…お口に合うかどうかわからないけど…、どうぞ。」
いちかさんの前に、コーヒーを置く。
「………おいしい。これ、平瀬さんが?」
「母親が好きで…、受け売りみたいなもんです。」
「このカップも…素敵。」
「…それも…母のものなんです。」
「そうですか……。」
いちかさんは、カップを置いて……
部屋を見渡した。
「…一緒に住んではないんですね。」
「……以前は。両親は一年前に…他界しました。」
「…………。そう…だったんですね。ごめんなさい、私、前にお会いした時……」
「あ。やだ、そんな深刻にならないでくださいね?もう吹っ切れてますので…。」
「…………。」
「私のことはいーんです。いちかさんがどうして泣いていたのか…、そっちの方が気になります。」
「………。聞いたら……平瀬さんは私を軽蔑するかもしれません。」
「……なぜ…?」
「……私は……、自分を金で売った女ですから。」
「………………。」
自分を……
売った?
「………。事情があったんでしょう?そうしなきゃいけない理由が。」
「……はい。」
「とことん、聞きますよ。
「………真っ直ぐな人なんですね。」
「いいえ。私はただ……、ここで会ったが何かの縁。その縁のわけを…知りたい。……それだけです。」
「……そうですね…。私も、平瀬さんに聞いてもらいたくなりました。」
「…はい。話せる所から……、ゆっくりどうぞ。」
「………私はー……」


